7月 17 2011
先週(7/11~7/15)の為替動向
【7/11:月】早朝こそ80.50円台にした窓を開けたものの、東京時間は前週NYクローズとほぼ同水準の80.60円台から。月曜仲値のドル需要も手伝い、昼頃には80.75円まで上昇。午後から欧州時間にかけてはEU財務相会合でのギリシャ債務の扱いに関しての警戒感から、対欧州通貨でドルが買い戻されるとドル円も80.81円を付けるもEU債務懸念のイタリアへの飛び火懸念が取り沙汰されると米国債買いに資金逃避流れが生じ、米長期金利が低下。これが引き金となり、ドル売り・円買いへと様相が変わるとNY時間間際にはストップロスを巻き込み80.30円まで下落。NY開始後多少の反発を見たが、米債利回り下げ止まらず80.09円まで下落。80.30円台まで反発して東京に交代。
【7/12:火】朝方は反発模様で80.36円まで上昇するも東京開始と共に80.10円まで下落。欧州債務懸念によるユーロ安に呼応しての円買いドル買いが均衡していたが、欧州時間序盤にラガルドIMF専務理事がEU債務問題の先行き不透明発言をきっかけにユーロ円が急落。これにクロス円全般が引きずられ円全面高となり、ドル円は一気に80円割れ水準まで急落。欧州本番には資源国通貨も連れ安となり、これに米債金利低下も加わるとストップロスを巻き込んで一気に79.15円まで急落。直後にショートカバーから79.50円台まで一気に反騰後、もみ合い。NY時間帯ではFOMC議事録内容が気がかりとなり、公表結果ではQE3についての話題もあったことから再度下落に転じ、79.30円付近でNYクローズ。
【7/13:水】早朝の薄商いを狙ったと思われる虚を突かれた売り仕掛けから前日安値を割るとストップロスを巻き込み78.45円まで急落。しかし直後からショートカバーされ、東京時間開始時にはNYクローズ同水準の79.30円台。東京時間はじり高推移で反騰するも、欧州時間入り頃からユーロドル上昇の反撃を受け、ドル円はまたも反落開始。NY時間にはバーナンキFRB議長の議会証言発言にQE3を否定しない表現が見られたことでドル売りが再燃。79円を切ったところで売り一服。その後耗弱。
【7/14:木】NYクローズ後にムーディーズが米債格付けの見通しを引き下げ検討との報道から79円弱の耗弱が溶け、79円~78.60円の幅を東京時間午前中まで乱降下。正午前に78.45円と前日の総超安値にならぶと底なのか下げ止まり、78.60円付近でもみ合う中、東京終了間際に突如1円近い急騰により79.58円まで急上昇。市場は介入を疑ったが、実需の大玉らしいことが解り、その後は79円をわずかに超える水準でもみ合い推移。前夜下院での議会証言でQE3を否定しなかったバーナンキFRB議長の上院で証言では、デフレならばと明確な前提を上げて現状でのQE3検討を否定。証言後79.20円台までわずかに上値を上げたが膠着続行。
【7/15:金】QE3は否定されるも、ムーディーズによる債務上限引き上げがなければ見通し格下げという警告や、前日の一時的な急騰による介入警戒再燃などから相場は膠着し、新たな材料もないまま週末調整は進み、79.05円付近で1週間を終わる。
【週足デマーク指標/フィボナッチゾーン】(詳細は添付資料をDLください)
TD Range Projection
USD/JPY High: 79.97 / Low: 77.61
EUR/JPY High:119.40 / Low:115.50
EUR/USD High:1.4216 / Low:1.3780
GBP/JPY High:128.56 / Low:124.02
GBP/USD High:1.6367 / Low:1.5959
Fibonacci Zone USD/JPY
R2 81.83 ~82.73 / R1 80.65 ~80.93
S1 78.29 ~78.01 / S2 77.11 ~76.21
Fibonacci Zone EUR/USD
R2 1.4526 ~1.4692 / R1 1.4308 ~1.4359
S1 1.3872 ~1.3820 / S2 1.3654 ~1.3487
■資料ダウンロード(以下がひとつのファイルにとりまとめてあります。)
『先週(07/11~07/15)の為替動向』
→ 2011_0715.pdf をダウンロード
◎先週の主要8相場チャート
◎先週限のドル円/ユーロドル日足1年分+時間足3週間分
◎先週の4本値と今週のPivot
◎週間為替リポート保存版PDF
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7月 17 2011
ドル円。方向性は出るのか?(7/17版)
※初めてお越しの方へ:いきなりこのエントリーだけを見る前に、前回の「時間軸の考え方」や「相場のOutoLineとDetail 2」辺りを参照しておいてください。ある時間軸だけで考えることや、チャートだけで戦略建てすることは「木を見て森を見ず」につながります。
まず最初に、左は先週の為替動向でも使っている先週1週間分の30分足です。
バーナンキFRB議長は7/13の下院での議会証言ではQE3を否定しないような発言を行い、7/14の上院では念頭にないと実施を否定しました。(なお、私は下院証言の段階からデフレ状況によっては…と実施を限定していたと思ってましたが、多くのマスコミは否定しなかったの一点張りでしたね)
この2つの議会証言による流れを見ると(7/13,14両日の下値アタックを無視して)週初から一貫して下げ続けたドル円は、下院後には続く上院での見極め待ちを決め、上院後はドル円売りは一服し、むしろ戻すかのような動きになりつつあるように見えます。
※7/13,14両日の下値アタックは市場の総意ではなく投機筋の明確な意図を持った売り仕掛けだと思います。また、7/14の急騰はこれも目的ある正規の需要がたまたま大玉過ぎただけと思っています。従って、長々と伸びたヒゲは計算する際の幅として含むとしても、市場の総意という観点から見るなら、ある種ノイズと考えても良いかと思っています。
さて、次に左はもう少し長い時間をとった4時間足です。左端は東日本大震災付近になりますが、このとき付けた安値と今週の下値アタック安値、震災安値から戻しが入り協調介入直前と6月初旬からのサポートTLは平行線を引けるため、これは上昇チャネルを形成していると見て良いかと思うのですが…このチャートで見る限りもう一度下値アタックをやりそうな雰囲気でもありますね。
最後は日足チャートです。4時間と同じTLを引いた…と言うより先にこちらを描いて後から4時間を描いたのですが、こちらでは先ほども書いた震災安値以来の上昇チャネル下端で跳ね返り、上昇を目指しているかのように見えます。しかし先週の安値は昨年の介入安値から延々引ける下降チャネル下端でもあります。
つまりこれから数週間くらいの範囲で、3月の震災安値からの上昇チャネルなのか、昨年の9月介入以来の下降チャネルなのかの大きな分かれ目がやってくるという事で、早ければ4時間足の項で書いた再度の下値アタックで解るかも知れませんし、この場合は近々答えは出ますが、このまま戻してどちらのチャネル上端まで行くのか跳ね返されるかを見るまでにはまだ期間を要するかと思います。
その辺の材料となり得るのは債務上限引き上げと歳出削減案の行方そしてQE3の有無。という事になるかと思いますが、Twitterでもたびたび書いているように結果的に債務上限は引き上げると思います。問題は歳出削減案の方で、その交換条件となる増税等の措置に関してまだまだ悶着しそうですね。
最後にQE3に関してですが、私は無いかあってもかなり方策を変えた形になると思っています。左は昨年来のCPI(消費者物価指数)の推移ですが、QE2の口実となったインフレ率の悪化とその打開策としてのQE2が効果を上げたことが如実だと思います。よってインフレ率も向上を果たし、金利も低下した今はQE2実施時と状況が異なり、同じ口実や方策は使えないわけです。
ここからここまでの記述を遡ると、QE3は無い。歳出削減案はまだ悶着があっても債務上限は引き上げられるだろうから、ムーディーズから警告されている見通し格下げも無くなる。という事になり、歳出削減案が鍵となるだろう事が結論付いてしまうわけで、これによっては大きな投資先変更等の流れが起き、それによっては…と続くわけです。
何の結論も出てないように見えますが「考え方の一助」にはなりましたでしょうか?
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By najirane • 為替動向と予想 • Tags: トレンド 地合 チャネル QE2 QE3 バーナンキ 議会証言 債務上限 歳出削減案