7月 17 2011
ドル円。方向性は出るのか?(7/17版)
※初めてお越しの方へ:いきなりこのエントリーだけを見る前に、前回の「時間軸の考え方」や「相場のOutoLineとDetail 2」辺りを参照しておいてください。ある時間軸だけで考えることや、チャートだけで戦略建てすることは「木を見て森を見ず」につながります。
まず最初に、左は先週の為替動向でも使っている先週1週間分の30分足です。
バーナンキFRB議長は7/13の下院での議会証言ではQE3を否定しないような発言を行い、7/14の上院では念頭にないと実施を否定しました。(なお、私は下院証言の段階からデフレ状況によっては…と実施を限定していたと思ってましたが、多くのマスコミは否定しなかったの一点張りでしたね)
この2つの議会証言による流れを見ると(7/13,14両日の下値アタックを無視して)週初から一貫して下げ続けたドル円は、下院後には続く上院での見極め待ちを決め、上院後はドル円売りは一服し、むしろ戻すかのような動きになりつつあるように見えます。
※7/13,14両日の下値アタックは市場の総意ではなく投機筋の明確な意図を持った売り仕掛けだと思います。また、7/14の急騰はこれも目的ある正規の需要がたまたま大玉過ぎただけと思っています。従って、長々と伸びたヒゲは計算する際の幅として含むとしても、市場の総意という観点から見るなら、ある種ノイズと考えても良いかと思っています。
さて、次に左はもう少し長い時間をとった4時間足です。左端は東日本大震災付近になりますが、このとき付けた安値と今週の下値アタック安値、震災安値から戻しが入り協調介入直前と6月初旬からのサポートTLは平行線を引けるため、これは上昇チャネルを形成していると見て良いかと思うのですが…このチャートで見る限りもう一度下値アタックをやりそうな雰囲気でもありますね。
最後は日足チャートです。4時間と同じTLを引いた…と言うより先にこちらを描いて後から4時間を描いたのですが、こちらでは先ほども書いた震災安値以来の上昇チャネル下端で跳ね返り、上昇を目指しているかのように見えます。しかし先週の安値は昨年の介入安値から延々引ける下降チャネル下端でもあります。
つまりこれから数週間くらいの範囲で、3月の震災安値からの上昇チャネルなのか、昨年の9月介入以来の下降チャネルなのかの大きな分かれ目がやってくるという事で、早ければ4時間足の項で書いた再度の下値アタックで解るかも知れませんし、この場合は近々答えは出ますが、このまま戻してどちらのチャネル上端まで行くのか跳ね返されるかを見るまでにはまだ期間を要するかと思います。
その辺の材料となり得るのは債務上限引き上げと歳出削減案の行方そしてQE3の有無。という事になるかと思いますが、Twitterでもたびたび書いているように結果的に債務上限は引き上げると思います。問題は歳出削減案の方で、その交換条件となる増税等の措置に関してまだまだ悶着しそうですね。
最後にQE3に関してですが、私は無いかあってもかなり方策を変えた形になると思っています。左は昨年来のCPI(消費者物価指数)の推移ですが、QE2の口実となったインフレ率の悪化とその打開策としてのQE2が効果を上げたことが如実だと思います。よってインフレ率も向上を果たし、金利も低下した今はQE2実施時と状況が異なり、同じ口実や方策は使えないわけです。
ここからここまでの記述を遡ると、QE3は無い。歳出削減案はまだ悶着があっても債務上限は引き上げられるだろうから、ムーディーズから警告されている見通し格下げも無くなる。という事になり、歳出削減案が鍵となるだろう事が結論付いてしまうわけで、これによっては大きな投資先変更等の流れが起き、それによっては…と続くわけです。
何の結論も出てないように見えますが「考え方の一助」にはなりましたでしょうか?
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7月 24 2011
先週(7/18~7/22)の為替動向
【先週(7/18-22)のドル円を中心とした相場の流れ】
【7/18:月】祝日休場の東京は79.08円付近からスタート。薄い市場の中、希に大玉取引がヒゲを作るが米国債務上限引上・財政削減交渉行方睨みの78.95円~79.15円のレンジ取引に終始する。
【7/19:火】東京復帰参戦は79.05円付近から。仲値付近で79.13円ほどまで上昇するも前日に引き続き79円を挟んだ小動きに終始。
欧州時間からはドル売りの流れが再燃し、上値を79円をわずかに出る程度に抑えられつつ数回にわたり下値押しされ78.80円付近でNYへ。
NY午後にオバマ大統領が債務上限引き上げ交渉に一段の進展を見たとの会見を行ったことでドルは急進。76.26円まで上昇した後、多少利食いや調整が入るが79.15円付近で東京へバトンタッチ。
【7/20:水】未明のオバマ会見とゴトー日需要から仲値にかけて79.30円まで上昇するもここで頭打ち。午後からは、独仏首脳が電話会談を行うとの報道からギリシャ支援合意への期待感でユーロ買/ドル売り再燃。一時78.70円まで押し込まれるが、78.85円付近でもみ合い。NY時間に発表された米6月中古住宅販売は予想割れ、ロン16に絡んだドル売りの噂などからドル売りが加速し78.75円付近にまで水準を下げ、膠着のままNYを終了。
【7/21:木】東京早朝から序盤は78.80円付近まで戻すも仲値以降はじり安。数回にわたり下押しされ、昼頃には78.60円割れ目前まで押し込まれるが、東京終了間際に79.01円まで謎の瞬間急騰。介入?との噂も当局は否定。利食い・調整・介入期待・介入懸念が交錯し、78.70円から78.95円ほどの範囲で売買交錯するも、NY時間に発表の米失業保険は期待を裏切る増加でドル売り再燃となり、78.50円を割り込むかと思われたが途中で発表された米7月フィリー指数が予想を上回ると一時78.64円まで押し返すがロン16までにかけて78.32円まで下押し。その後78.60円付近でもみ合った後、NYクローズ直後に78.20円の週間最安値を付け反発しながら東京へ。
【7/22:金】東京では仲値にかけて78.65円付近まで反発を続けたが、週末調整と米国債務上限問題が重くのしかかり78.60円台で小動き。欧州時間となるとドル売りが再燃し、78.50円台に。
NY時間からは再度下押しの流れが強くなり何回か下値アタックとなるが、78.25円付近で底堅くオスロでのテロからユーロが売られると78.40円付近で1週間を終了する。
◆今週のチェックポイント
・債務上限引き上げ交渉は最終期限の8/2まで
一進一退の可能性は高いが、それだけに
神経質かつ突然の変動にも要注意。
・デフォルト突入リスクと裏腹のデフォルト回避リスク
デフォルト懸念は上値を抑えるが、
回避が憶されるとその瞬間はフタが外れる。
・今週は2年5年7年債入札
・7/27(水)ベージュブック
◆週足デマーク指標/フィボナッチゾーン
TD Range Projection
USD/JPY High: 78.92 / Low: 77.84
EUR/JPY High:116.36 / Low:112.46
EUR/USD High:1.4608 / Low:1.4187
GBP/JPY High:129.10 / Low:127.33
GBP/USD High:1.6488 / Low:1.6153
Fibonacci Zone USD/JPY
R2 79.78 ~80.19 / R1 79.23 ~79.36
S1 78.15 ~78.02 / S2 77.61 ~77.19
Fibonacci Zone EUR/USD
R2 1.4692 ~1.4853 / R1 1.4481 ~1.4531
S1 1.4059 ~1.4010 / S2 1.3849 ~1.3688
■資料ダウンロード(以下がひとつのファイルにとりまとめてあります。)
『先週(07/18~07/22)の為替動向』
→ 2011_0722.pdf をダウンロード
◎先週の主要8相場チャート
◎先週限のドル円/ユーロドル日足1年分+時間足3週間分
◎先週の4本値と今週のPivot
◎週間為替リポート保存版PDF
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By najirane • 為替動向と予想 • Tags: デマーク指標 Demark Range Projection Fibonacci Zone ユーロドル ドル円 クロス円 原油 為替 株式 米国 指標 ダウ 介入 日銀 金融緩和 FRB ECB QE2 QE3 FOMC バーナンキ 出口戦略 ギリシャ イタリア スペイン 緊縮財政 雇用統計