それは内政干渉に等しいです:補足

昨晩、「それは内政干渉に等しいです」と言う内容で、国外企業や諸外国に対してまで
規制を働きかけようとする金融庁の横暴ぶりを非難しましたが、
これは単に規制を受ける側の抵抗や腹いせではありません。

皆さんの中で金融そのものや資産運用といったことを、
大学・専門学校を除く小中高の学校教育や家庭教育として
学習した経験をお持ちの方はどれだけいらっしゃるでしょうか。

金融広報中央委員会が行った調査によれば、受けたと答えた人は全体の4.2%に過ぎず、
67.6%の人が受けなかったと答えています。

私は中学の時に公民(社会)の授業中の脱線話としてインフレ・デフレのメカニズムや
現物・先物取引市場話(=相場モノ)を聞いた記憶はあっても、
正規の科目もしくは正規の単元授業として教育を受けた記憶はありません。

私事ですが、私が育った環境というのは
父親が公認会計士、母親が商店経営、長兄が経済学博士と言う構成で、
経済・金融用語や世界情勢、体制(○○主義)に始まり
風が吹けば桶屋が儲かる仕組みは夕食時の会話レベルで吸収出来ました。

しかしこんな例は極めて稀有なことで、
先述のように多くの人は何も学ぶ事無く社会に出ています。

高度経済成長時ならそれでも良かった事でしょう。
黙っていても収入は右肩上がりに増え、退職時にはまとまった退職金も得られる。
約束された年金受給のおかげで、貯えの切り崩しも最小限で済んだ。

しかしそれは成長期にあったからです。

成熟期もしくは減退期にある今日では、上述は全て逆になります。
黙っていても収入は右肩上がりに増え、
 ⇒昇給は遙か彼方の記憶。実質賃金は目減りの一途。
退職時にはまとまった退職金も得られる。
 ⇒突然のリストラで退定年退職のその日すら迎えられるかどうか。
 ⇒派遣やアルバイトに退職金はない。

約束された年金受給のおかげで、貯えの切り崩しも最小限で済んだ
 ⇒年金?それって貰えるんですか?それで生活できるんですか?
 ⇒蓄えようにも月々の余剰金が出てきません。

だから増やすしかないんです。
でもどうやって増やせば?

ここで学校教育や家庭教育において金融・経済教育が無かった弊害が出るんです。
昨今ではベストセラーにもなっているように、
米国においては初等教育の時点から高等教育においてなお
一貫して金融・経済教育が行われています。

金融資産の所有方法について面白いデータがあります。
日本では約半分が現金・預貯金、株式・投資信託が約2割であるのに対し、
欧米では半分以上が株式・投資信託で現金・預貯金は1割程度です。
この違いはどこから来るのでしょうか。
結局日本人は「運用」が出来ないんです。

運用のためにはリスク分析やポートフォリオは必須です。
それなりのリスクを知っているならば
無謀とも思えるハイレバレッジはかけないでしょう。

さて、結論です。
ハイレバは諸刃の刃であることは周知の事実です。
しかしハイリスクであるからとそれを規制するより先に、
学校教育で経済・金融教育を行うのが筋という物でしょう。
危険な遊びをする子供を叱るのは簡単です。
しかしそのように育ててしまった自らの責任も忘れてはいけません。

こんな教育が日本にもあれば、ここまでおかしい事にはならなかったでしょう。